(早すぎる自伝。前回の続きです。バックナンバーは左の「ゆきち先生のマンガ道 まとめ」から)
なぜ突然父は息子の予備校を訪ねたのか?それにはいくつかの理由が推測される。
1、近くに寄ったから
2、息子を激励するため
3、本当に勉強しているのか怪しかったから
普通に考えれば1か2なのだが、この時期の事を思い返すと3も濃厚だ。それには理由がある。
正直俺はその年まで家で机に座り勉強する姿を親に見せた事がなかった。それは全く勉強しなかったから。
したとしてもせいぜい試験前の一夜漬けくらいだ。
それが急に毎日8時に家を出て夜遅くまで帰ってこない。理由を聞けば自習室でずっと勉強していると言う。
これは怪しい。
息子は本当に予備校に通っているのか?一日中自習室で勉強しっぱなしなんて作り話じゃないか?
そんな気持ちを込めた抜き打ち検査だった可能性がある。
かくしてアポなしで自習室に踏み入れた父は、教室のど真ん中でパーカーのフードをかぶってひたすら暗記する息子を発見する。
おそらく、、、
、、感動したに違いない。
心打たれた父は思わず黙々と暗記をする俺に近づいた。しかし集中する俺は横に父がいる事に気がつかず暗記を続ける。声をかけづらい父。
受験生しかいなはずの教室におじさんが入ってきた。
しかも毎日教室の真ん中でフードかぶってずーーっと座ってる人の横に立ってる。
、、、周りの受験生はめちゃくちゃ恐かったと思う(笑)
そして父はしばらく俺の勉強する様子を見たあと、
「僕の息子はいっぱい勉強してて偉いからお小遣いをあげよう」
と思い立ったらしく、財布から千円札を取り出して俺の視界にスッとお札を置いた。
パーカーのフードによって参考書しか見えない状態に狭められた視界に突如現れた千円札。
めちゃくちゃビックリして顔をあげると、「じゃあな」っと声を出さずに合図して教室から去る父がいた。
本来絶対ここにいるはずのない父、手の中に握りしめられた千円、教室の全員から集められた視線、、、
俺は再びフードを深く被り何事もなかったように暗記を続けた。
フードを照れ隠しに使う事を覚えたゆきち先生18才だった。
(ゆきち先生のマンガ道は今日で第54回目。思い出しても微笑ましくて面白いエピソードです。今の時代だったら教室に入る前に止められていたかもしれませんね 笑)
最近のコメント